第3章「特別扱い」
昼休みの食堂、ざわめきの中でも、女子達の視線はやたらとセイヤへ集まっていた。
「……?」
セイヤは本気で困惑している。
「なんだ?」
エミリアが即答した。
「あなたが……誰にでも優しいからよ」
セイヤは首を傾げる。
「そんなことはないが……」
リュウジが吹き出す。
「いやまわりはそう思ってないみたいだぜ」
セイヤは真面目に言う。
「風紀維持に必要な行動をしているだけだ」
エミリアは小さくため息を吐く。
「あなたはそうでもね……」
セイヤはまだ分かっていない。
「?」
エミリアは少しだけ視線を逸らした。
「あなたは、“特別扱いしてない”つもりなんでしょうけど」
「困ってる人を見ると放っておけないし、助ける時も迷わないし……」
ミリィが頷く。
「しかも距離近いんだよねー」
ヴァルも静かに微笑む。
「……自然に隣へ来る」
クロは静かに医療用アナライザー・パッドへ入力していた。
【無自覚型:典型症例】
リュウジが即ツッコミ。
「診断すんな!お前それ医療用じゃねえかわ(笑)」
セイヤは腕を組んだ。
「しかし、風紀を守るためには適切な対応が必要だ」
エミリアが少しムッとする。
「だからその“全員平等”みたいな感じが問題なのよ」
セイヤは真顔で答えた。
「平等ではない」
ミリィが目を丸くする。
「え?」
セイヤは当然のように続けた。
「私はエミリア以外に興味はない」
リュウジ、机へ突っ伏す。
「サラッというな(笑)」
ミリィ、爆笑。
「あははははっ!!」
ヴァルも肩を震わせている。
クロは静かに記録していた。
【高威力恋愛発言:確認】
エミリアだけ真っ赤だった。
「なっ……!?」
セイヤは首を傾げる。
「事実だろ?」
リュウジが天を仰ぐ。
「こいつマジで無自覚最終兵器だ……」
エミリアは視線を逸らしたまま、小さく呟く。
「……そういうところがズルいのよ」
セイヤは本気で分かっていない。
「何がだ?」
ミリィが笑いながら言う。
「普通そういうの恥ずかしくて言えないんだって!」
セイヤは即答した。
「なぜだ?」
リュウジが突っ込む。
「そこから説明しなきゃダメなのかよ!!」
ポックスが静かに頷く。
「確かに、ここまで自然に発言するのは高度です」
と頷く。
リュウジが即ツッコミ。
「納得すんな!」
ヴァルが少し笑う。
「でも……ちょっと羨ましい」
ポックスは真顔のままだった。
「否定はしません」
エミリアは深いため息を吐く。そして少しだけセイヤを見る。
「……この人が浮気するなんて思ってないわよ」
セイヤは当然のように頷いた。
「当然だ」
リュウジ。「お前は少し黙れ!」
ミリィまた爆笑。
クロは静かに入力している。
【エミリア:安心反応確認】
エミリアは続けた。
「ただ……」
「無自覚に周囲を振り回すのはやめなさい」
セイヤは真剣に考え込む。数秒後。
「努力する」
クロが即座に入力。
【改善成功率:3%】
リュウジ、机を叩く。「低っ!!」
食堂は再び笑いに包まれた。

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