第5章「エミリア参戦」
翌日の昼休み。食堂前には異様な光景が広がっていた。長蛇の列である。しかもその先頭には、味噌汁を飲むセイヤと、なぜか得意げなクロが並んで座っていた。
クロは静かにアナライザー・パッドを確認する。
【待機人数:27名】
【平均待機時間:94分】
クロは真顔で言う。
「限界値を超えています」
リュウジが頭を抱える。
「恋愛相談でシステムエラー起こすなよ……」
セイヤも困っていた。
「多すぎるな」
その時、エミリアが深いため息を吐く。
「……もう見てられないわ」
リュウジが顔を上げる。
「え?」
エミリアは女子生徒達を見る。
「次の相談は?」
リュウジ。「マジで参戦した……」
ミリィは目を輝かせる。
「えっ!?エミリアも相談員するの!」
ヴァルも小さく微笑む。
「……向いてそう」
最初の相談者が恐る恐る座る。
「あ、あの……好きな人とどう話せば……」
エミリアは少し考え込む。
そして静かに言った。
「……無理に飾らない方がいいわ」
「素直な気持ちを話せばいいの」
「大丈夫、あなたなら出来るから」
女子生徒停止。
「……っ」顔が真っ赤になる。
「ありがとうございます……!」
周囲女子達。
「エミリア先輩優しい……!」
ミリィ、机を叩いて爆笑。
「あーもう絶対人気出るってこれ!」
セイヤも当然のように頷く。
「その通りだ」
その後、エミリア側の列がどんどん伸び始めた。
「好きな人へ告白したいんです……」
「逃げたら後悔するわ。でも相手の事をよく知る事が先よ。しっかりリサーチしなさい」
「ケンカしてしまって……」
「原因を把握したうえで、ちゃんと話し合いなさい」
「距離を縮めたいんですけど……」
「まず相手を知る事ね。そして軽く見られないように気をつけなさい」
女子達、感動。
クロが静かに分析する。
【相談満足度:急上昇】
ポックスが頷く。
「非常に適性があります」
リュウジが即ツッコミ。
「お前ら適性診断すんな!」
すると今度は男子生徒が恐る恐る手を挙げた。
「あ、あの……俺もいいですか?」
エミリアは一瞥して言う。
「どうぞ」
男子生徒は緊張していた。
「好きな女子へ告白したいんですけど……勇気が出なくて……」
エミリアの目が少し鋭くなる。
「覚悟決めなさい。ただし告白するときは、時と場所を考えて言うことね」
男子停止。
「はいっ!!ありがとうございました」
リュウジ爆笑。
「男子には圧が強ぇ!!」
ミリィ
「普段、所かまわず言われてるからねぇ~(笑)」
ヴァルも肩を震わせている。
エミリアもセイヤに負けないくらい真面目に答える。
「気持ちを伝えないまま後悔する方が問題よ」
男子生徒達。
「おぉ……!たしかに、ありがとうございました。」
クロ入力。
【男子相談者:士気上昇】
セイヤはその様子を見ながら頷いていた。
「さすが、エミリアだな」
気づけば、エミリア側の列の方が長くなっていた。
クロが静かに表示する。
【エミリア側待機人数:41名】
【セイヤ側待機人数:12名】
リュウジ。
「人気逆転してんじゃねぇか!」
ミリィがニヤニヤしている。
「エミリア無双じゃん」
その時だった。相談者達が一斉にエミリアへ詰め寄り始める。
「エミリア先輩!」
「次いいですか!?」
「俺も相談が――」
その瞬間、セイヤがスッとエミリアの前へ立った。
「押すな」
「順番を守れ」
押しかける生徒をセイヤが制止する。
ミリィがニヤニヤしながら言う。
「今度はセイヤが護衛側だ」
ヴァルも静かに頷く。
「……立場逆転」
エミリアはセイヤを見る。
「……ありがと」
セイヤは当然のように頷いた。
「当然だ」
クロが静かに入力する。
【護衛対象変更確認】
【セイヤ→エミリア】
リュウジが机を叩く。
「だからシステムログみてぇに言うな!!」
ミリィ
「結局お似合いなんだよねぇ」
ヴァルも静かに頷く。
食堂には再び笑い声が広がる。
エミリアは少しだけ照れながら、でも機嫌良さそうに微笑んでいた。
宇宙生徒会長セイヤ 第66話⑤ 「セイヤ、モテ期到来?」 完


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