登場人物紹介
■ セイヤ 風紀を愛する生徒会長。今日も正論で突っ走る。
■ ポックス 冷静沈着な副会長。論理を愛するバルタン星人。
■ クロ 感情を得ようとする推定10億歳のアンドロイド。
■ リュウジ 頼れる幼馴染。仲間思いの生徒会メンバー。
■ ギル 岩石星人の風紀委員。見た目は怖いが五つ子の父親。
■ カズマ 新聞部の特ダネ記者。艦内の噂話ならお任せ。
■ エミリア 生徒会書記。優秀な参謀役でセイヤの彼女。ミリィの姉(双子)
■ ミリィ 明るく元気な医療部志望。リュウジの彼女。エミリアの妹(双子)
■ ヴァル 穏やかな流体生命体。優しさ溢れる癒やし担当。
■ハンク艦長 コスモ・アカデミア号艦長。豪快な性格。
■ポックル副長 コスモ・アカデミア号副長。冷静沈着。ポックスの父親。
■セイゴ コスモ・アカデミア号操舵士。誠実な性格。セイヤの父。
■リュウジロウ コスモ・アカデミア号機関主任。リュウジの父。
前回のあらすじ
救助隊長セイゴ率いるエミリアたちは、極寒の惑星でセイヤたちのシャトルを発見する。大破した機体に絶望が広がるが、船内からは生活物資や設備が計画的に持ち出されていた。彼らが自力で生存圏を確保したと確信し、希望を取り戻す救助隊。その時、吹雪の先に彼らが築いた「基地」の痕跡が姿を現そうとしていた。
第7章「到着」後編
「周辺をスキャンしろ。生体反応、および不自然な熱源を探せ」
セイゴの冷静な、だが力強い命が飛ぶ。
「了解!」
即座に隊員の一人がアナライザー・パッドを起動し、周囲の索敵を開始した。数秒の静寂の後、オペレーターの鋭い声が響いた。
「熱源を検知!方位北西、距離およそ三・二キロメートル!」
全員の視線が、一斉にモニターへと注がれる。表示された数値を確認したヴァルの瞳が、驚愕に大きく見開かれた。
「……地熱だ」
次々と更新されるデータが、その推測を裏付けていく。
【地熱活動確認】
【熱源反応:極めて安定】
【内部推定温度:十五度】
エミリアは思わず息を呑んだ。
「洞窟……。そこにいるのね」
「うん、ポックスなら間違いなくそこを目指すはず」
ヴァルも確信に満ちた声で続ける。
セイゴも深く頷き、力強く応じた。
「生活物資をすべて持ち出した理由も、これで説明がつく。地熱利用、暖房、水、そして安全な避難場所……。生き延びるための条件がすべて揃っている」
セイゴは鋭い眼光で北西の空を見据え、断を下した。
「目標を北西の熱源に切り替える。全員、移動準備!」
「了解!」
エミリアが即座に救助隊員たちへ向き直る。
「隊長に続け!足元に注意して前進!」
「了解!」
猛烈な吹雪を突き進み、救助隊が雪原を歩み始めてからしばらく経った頃だった。前方を進んでいた隊員の一人が、遮光バイザー越しに何かを捉え、声を上げた。
「あれは……何だ?」
指し示された先、白濁した視界の向こう側――切り立った崖の頂に、それはあった。巨大な風車が、猛吹雪を真っ向から受けながら悠然と回転している。
ブォォォォォォ……。
地響きのような轟音とともに、巨大な羽根が重厚に空を切り裂く。
その人工的で力強いシルエットは、生命を拒絶するこの極寒の惑星において、あまりにも場違いで、異様な存在感を放っていた。
「風車……?」
ミリィが信じられないものを見るように目を丸くする。ヴァルもまた、呆然とその光景を見上げた。
「ポックスだ」
その一言だけで、すべてが理解できた。さらにエミリアが、目を凝らして風車の足元を指差す。
「見て。あそこから何か伸びてるわ」
風車の根元からは、太い一本の送電ケーブルが雪の中を這うようにして伸びていた。ケーブルは切り立った崖沿いを器用に伝い、その先にある巨大な洞窟の闇へと吸い込まれている。その光景を目の当たりにし、セイゴの口元からふっと力が抜けた。
「なるほどな……。あいつら、ただ風車を作っただけじゃない」
感嘆の混じった苦笑を漏らし、崖から伸びる線を指差す。
「発電した電力を、あの洞窟へ引き込んでいるのか」
エミリアも、呆れと安堵が混ざり合ったような溜息をつき、肩の力を抜いて笑った。
「もう……。ただの避難じゃないわね。完全に拠点を築いてる」
「……生きてる」
ミリィが、祈るようにその言葉を噛み締める。ヴァルの瞳には、熱いものが込み上げていた。
「ポックスが……間違いなくあそこにいる」
確信が、救助隊全員の士気を一気に跳ね上げた。セイゴが力強く腕を振る。「目標、洞窟入口!全員、慎重かつ迅速に前進せよ!」
「了解!」
エミリアが隊員たちを鼓舞するように続く。
「遅れないで!熱源地点へ向かうわよ!」
吹き荒れる雪煙の向こう。巨大な洞窟の入口が、彼らを迎え入れるかのように、ゆっくりとその黒々とした口を開き始めていた。
第8章に続く

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